貫汪館 広島護国神社奉納演武

広島護国神社は、広島駅から車で10分ほどの広島城内にあります。
周辺には大きな公園、美術館、広島県庁、高等裁判所、総合体育館なども。
周辺の区画は碁盤の目に整理されていて、京都や北海道を思い起こさせます。
ただその事情は、道を一本はさんである広島平和記念公園や原爆ドームが
静かに物語っています。
古武道の貴重な伝書類も、ほとんどすべて焼失してしまったようです。
広島城も当然ながら復元されたものなのだとか。

 

当日は午前9時に集合して、演武会場の準備。
私は初めての場所、初めての参加で勝手がわからず右往左往してしまいました。
荷物を置くのは細長い廊下で、人がすれ違うのもやっと。
刀もどうしたものか。とりあえず袋から出して、木刀には鍔をつけて。
儀式殿の扉を外して、椅子を並べて布で拭いて。

 

そうこうしているうちに、参拝の時間です。あわてて本殿へ。
正式参拝です。
お祓いをしていただき、館長が玉串を奉納。神主の話を聞きます。
お神酒と撒餞などもいただきました。最後に全員で写真撮影。
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儀式殿に戻り、奉納演武の開始です。
開会式では、館長と顧問の先生の挨拶、七尾道場長による諸注意がありました。
演武は、無雙神傳英信流抜刀兵法、大石神影流剣術、澁川一流柔術の三流派。
顧問であるお二人の先生の居合、館長と副館長の三學圓之太刀から始まり、門下生の居合、剣術、柔術の演武が続きます。

 

演武の出番になった館長に代わり、写真撮影を担当しました。
ビデオ撮影は、いつもどおり名古屋西支部長が担当。
名古屋西支部長は今年は自分も演武に出ながらの撮影でお忙しいことです。
そのうちに雨が降り出しました。写真撮影をやめるわけにはいかないし、

どうしたものか。
とりあえず懐から手拭いを出して、大事な館長のカメラにかぶせました。
剣道用の手拭いもトンボ柄ですが、こちらの手拭いもトンボ柄です。勝虫
昨年に続いてキツネの嫁入りかと思いきや、そのうちかなり本格的に。
大粒の雨がばたばたと叩きつけてきます。
巫女さんが傘を持ってきてくれましたが、あいにくと両手はふさがっており。お礼だけ言って、持って帰っていただきました。すみません。
名古屋西支部長は、傘を借りてさしていました。
ちょっとさすがにもう無理だなと思い、引き上げて屋根の下へ。
控えの間から撮影を継続。

雨ですっかり冷えてしまって鼻水がずるずると。
間近で皆さんの演武を拝見できたのは幸いでした。勉強になります。

 

さて自分の出番です。写真撮影は副館長が代わってくださいました。

まずは詰合。七尾道場長が打太刀です。
一本目を抜いて、また座ると七尾道場長が小さな声でぼそりと。
もう少し弛めてと。
緊張して固くなっていたようです。ふーっと息を吐いて全身を弛めます。
発早から燕返まで。
広島護国神社の奉納演武はビデオで見たことがありますので演武場の雰囲気は知っているつもりでしたが、やはり実際に演武するとなるとまた違います。
思ったほど広くない。考えなしに動いては、端にぶつかってしまいそうです。
燕返は相懸ですが、スタートは少し待って調整しました。
とくに大きな失敗もなく、なんとか最後まで。

 

次は陽之裏。同じく七尾道場長がお相手で、私は打太刀をつとめました。
本来、打太刀は上位のつとめですが、まあ交代ということで。
名古屋西支部長の組も一緒に演武です。
気合の声が大きくて、二組同時は迫力があってよかったとのこと。
椅子に座ってご覧になっていた外国の方も見入っていたそうです。

 

居合は英信流表を抜きました。やはり七尾道場長と一緒です。
業は館長の指定で、横雲、浮雲、鱗返、瀧落、抜打。
向身、左身、右身、後身は、林崎のコンセプトです。そして最後は抜打。
演武としては鱗返よりも岩浪の方が英信流表らしくていいかもしれませんが、鱗返もしぶくていい業です。

魚の方向転換は見事なものです。一瞬でくるり

 

奉納演武の最後は、館長による居合の演武です。
初発刀、横雲、向払、両詰、抜打

いやーしぶいですよね。私の好みにもばっちぐーです。見惚れていました。

 

閉会式では、顧問の先生と館長から講評をいただき、終了となりました。
奉納演武ですので観客に対する礼などはありません。

外国の方は訳も分からずそのまま座っていらっしゃいます。
館長の指示で副館長がご挨拶。

うぃはぶふぃにっしゅどつでいずでもんすとれーしょんさんきゅー

ときこえました。にこやかにおわかれ。
あれほど激しかった雨も途中からはやんで、すっかりよい天気になりました。
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急いで椅子を片付け、外した扉を戻して、着替え。
皆で昼食会の会場へ移動します。1キロほど離れた場所にある「露庵」です。
館長と竹本道場長夫妻を先頭に歩きますが、お三人の早いこと早いこと。
歩いている姿は速く見えないのですが、油断するとどんどん置いていかれます。
新宿を歩いているときもそうでした。まるで仙人のようです。
先日の虎乱刀の稽古で、腰が落ちていれば歩幅は自然に広くなる、というのを思い出しました。足早について行くのではなく、歩法に気を配って歩きました。

 

道すがら、館長や顧問から演武の内容についてコメントをいただきました。
顧問の先生に、居合は癖がなくてよい、と言われたのはとてもうれしかったです。
私には最高の褒め言葉です。今後の励みになります。

 

昼食会は1時間半ほど。バイキングで美味しい料理をたらふくいただきました。
館長から広島城観光にお誘いいただきましたが、今回は早く帰る予定でしたので、せっかくなのですがまたの機会とさせていただきました。

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帰りの新幹線は名古屋西支部長とご一緒。
名古屋西支部長はとーっても大きなキャスターカバンに防具と宿泊道具を一式、刀数振りに、バズーカのようなビデオカメラの三脚。
私は私でやはり防具のキャスター、道衣の入ったリュック、刀を数振り。
隣り合って座ると荷物の置き場が心配でしたが、周囲の方の御厚意でなんとか。

広島城観光をお断りしても、帰宅は7時過ぎでした。
大量の荷物をほどいて、家族で食事をして、子供とお風呂に入って。

 

今回面白かったのは、広島に到着して、ふーっと一安心したところです。
昨年の12月以来約4カ月ぶりですが、まるで帰って来たような錯覚がしました。
新横浜に到着すると、帰ってきたというより新横浜に到着した、という感が。
桜はすっかり散り始めており、来週はもう花見という感じではなさそうです。
ちょっと残念。

 

今回の奉納演武ではまた貴重な体験をさせていただきました。
ご指導いただいたことを今後の稽古に活かそうと思います。

 

来週は横浜支部で通常通りの稽古。
再来週は、大石神影流剣術第7代宗家継承式となります。
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更新がすっかり遅くなってしまいました。これから今週の稽古です。
さー、着替えなきゃ。デンさんをお待たせしてはいけない。

H26.4.12