貫汪館 横浜支部稽古

6時前に体育館に到着すると、デンさんはすでにいらしていてお着替え中でした。
最近は少し早目にお越しで、今日はいつもよりさらに早く到着したとのことでした。

 

館長からお預かりしていた大石神影流の木刀をお渡しします。
プラスティックの鍔と鍔留もお渡ししましたが、サイズが合いませんでした。
木刀は特注品で手作りのため、サイズは一本一本が微妙に異なります。
鍔はあとでご自分で削っていただきましょう。

 

ご自身で注文されていた居合刀がちょうど届いたとのことで、お持ちに。
刃長は二尺八寸、縁頭と鐺金具は波、目貫は縁起の良い扇、銀ハバキ、
柄は茶色の革巻きで鮫皮は黒、鞘は焦げ茶、下げ緒も革。
刃紋はギラギラとして火焔のようでちょっと意外でしたが、お好きだそうな。
お借りして振らせていただきました。樋が入っていますが、上品な音がしました。
デンさん、いつもより早くお越しになったのは、うれしかったからなのでしょうか。
今日からさっそくお遣いになる予定です。

 

さて、6時15分から稽古開始。
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大石神影流剣術

試合口、陽之表、陽之裏、三學圓之太刀

 

前回の本部講習会で指導していただいたことを思い返しながら手数を通します。
思い返すのはもちろん手順などではなく、そけい部の弛み、肚を中心とした動き

などです。

 

手数自体はだいぶスムーズにできるようになりました。
ただ、附けの構えなどはいまひとつです。以前ほどの素晴らしさはまだ戻らず。
やはりきちんと身に付くまでは、続けて稽古しないと鈍ってしまうものなのでしょう。
手と足の位置がここで、角度が何度、距離が何センチ、ということではなく。
全体の均衡、バランス、兼ね合い。

 

いつもは仕太刀だけをしていただいていますが、今回は陽之表の打太刀も。
やっぱりできないよりはできた方がいいですしね。
打太刀ができれば、仕太刀の動きを受けることができます。
そうすれば自分の仕太刀のレベルも自然に上がるというものです。

 

試合口はだいぶ上達されました。
簡単だからというよりは、仕太刀と打太刀の両方を稽古しているからでしょう。
やはり実際に業を受ける、というのはとても大事なことかと思います。
自分で受けて、それを再現する。あれこれ言われなくても自分で工夫ができます。
みらーりんぐ
でも打太刀のときに自分の動きでいっぱいいっぱいなのでは、せっかくの仕太刀の動きを見て取ることもできないかもしれません。
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無双神伝英信流抜刀兵法

 

太刀打、詰合
こちらは当初から、遣い方と打太刀の両方を稽古しています。
やはり実際に受ければ、感じるものはあるはずです。

それがすぐにその場で自分では再現できなかったとしても、いずれきっとできるようになることでしょう。
種さえ蒔いてあれば、あとは時期が来て環境が整いさえすれば、芽が出るというものです。種のないところにいくら水をまいても、芽が出ようはずがありません。

それが何日後か何週間後か、何ヶ月後か何年後かはわかりませんが。

 

斬撃
抜いて中段に下ろしたところから、いい感じです。刀と体が一体になっています。
やはり借り物ではなく自分の刀なのがいいのでしょう。
二尺八寸の立派な刀です。長い刀だなあとは思いますが、違和感はありません。
全体で一つの調和が取れています。

 

歩法もいい感じです。刀がある方が歩きやすい。刀がないと歩きにくいと。
刀に助けてもらいながら稽古をして、刀がなくても歩けるようになるといいですね。

 

斬撃もいい感じです。力みはなく、歩法の延長で刀が上がり、下ります。
上げて下ろす、のではなく、上がって下りる。そんな感じ。
作為を感じない、自然な動きです。

 

大森流
最初に抜いて見せて、抜いていただきます。問題点を指摘してまた抜いてもらう。

 

初発刀
指摘することはいつも同じです。
押さえ付けない、力まない、極めない、蹴らない、まっすぐ立ち上がる、などなど。

 

抜きつけで切っ先に威がありません。切っ先は、常に意識する必要があります。
切っ先まで体と一つになれば、もう意識する必要はなくなりますが。
自分の体を動かすときに、いちいちあれこれと意識する人はいないと思います。
斬撃はやはりいい感じです。

 

今回、納刀にかなり時間を掛けました。
せっかくおニューの居合刀です。納刀で鯉口をこじってしまってはもったいない。

納刀で切っ先が入る瞬間は、抜きつけで切っ先が離れる瞬間と同じです。
刀と鞘が一直線にならなければいけない。
右拳、右肩、左腰の三角形。
平面上の三角形を定義する方法は、数学上はいくつかあることでしょう。
三つの頂点、三つの角度、三つの辺。その組み合わせ。
ただ、ここで話題にしたいのは、三辺の長さだけです。
三辺の長さを決めれば、三角形は定義されます。他の方法はこの際スルー
普通、体の長さ(右拳-右肩、右肩-左腰)は変わりません。身の曲尺です。
あとは刀の長さ(右拳-左腰)が定まれば、三角形の完成です。
この長さの刀なら、この一点というのが自動的に定まるはずです。
刀の見掛け上の長さ(右拳-左腰)は、抜刀、納刀で刻々と変化します。
ただ、いま話題にしているのは、切っ先が鯉口にある瞬間のみ。最大長だけ。
もちろん、動きの瞬間瞬間にも合理的でなければならないのは当然ですが。

びぶんせきぶん

あとは空間上の定義。GPSと同じで、もう一点が必要。それはもちろん、鐺です。


要は単に、鐺から鯉口の延長線上に柄頭があるというただそれだけなのですが。
でもあれこれと屁理屈をこねると、わかったような気になるものです。
そしてそれで実際に理解ができて、体現ができるのであれば、まあよいような。
どういう理屈が一番得心が行くかは、人それぞれかもしれません。


あとは貫汪館の無双神伝英信流の納刀として、柄を握らずにできるかどうか。
肩肘手首が沈み、虎口の上に柄を乗せる形。横からつかんで持つのではない。
四指は完全に伸びて、柄に筈に掛かります。一切、持ちません。
右上前に分け開いたときにすでにその形になっているかどうか。
大森流であれば血振るいの形から切っ先を肩に取り、英信流であれば肘へ。
立っていれば自由にできてしまいますが、座っていれば鐺が床に当たります。
大森流と英信流の納刀の一番大きな違いはそこかと。
鯉口に当てる位置が違うのは結果であって、それが目的ではないかと思います。

もし刀が直線の棒であれば、話はここで終わり。
でも、刀には反りがあります。
柄が虎口に乗る、という点とあいまって、そこに技術が発生します。

刀の形が変わるわけではありませんが、同じ位置でも向きを変えると。

とぽろじーおもしろいですね。あれ、私だけ?

しばらくあれこれと繰り返すと、見事な納刀ができるようになりました。ぶらぼー
なにも言うことがありません。このまま身に付けていただきたいと思います。
ああ、次回の稽古でまた戻っていたらどうしましょう。こわいこわい。。。

#途中、あやしげな単語の用法が多々見受けられますが、生温かい目でスルーしていただけると幸いです。

 

左刀、右刀、當刀
相手の位置について少しお話をしました。抜きつける位置、足の踏み込み。
あとは初発刀と同じです。そけい部の弛み。

 

陰陽進退、流刀、順刀
前回までと同じです。

 

逆刀
体の正面ではなく左から振りかぶる。

見ているのに、見えていない。なので、あえて言葉でお伝えしました。
まったくの素人さんであれば、わけもわからず見たままを真似することでしょう。
ですがなにがしかの経験があると無自覚に類似の動作で間に合わせてしまう。
この問題は根が深いです。よほどの覚悟が必要です。経験者は皆、苦労します。
逆刀は縦回転の連続です。ロータリーエンジンのよう。

 

勢中刀
まず逆刀と同じ体勢になること。

 

虎乱刀
左、右と手を掛ける。歩法、斬撃ともにいい感じです。

 

抜打
柄を右腰へ抱きかかえる。刃を平にして、右脇へ抜き出す。
デンさん、お腹が邪魔でキビシソウです。
はい、ここでわんぽいんとれっすん。抜き出すとき、上体がやや前掛かります。
はい、初発刀で最初に習いましたよね。そーですそーゆーことです。
傍から見たら、軽くお辞儀をしているように見えるかもしれませんねえ。
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9時ギリギリになって稽古終了。
あわてて片付けをして、着替えて、体育館をあとにしました。

 

さてデンさん、ついにご自分の居合刀と大石神影流の木刀をゲットされました。
よこはましぶちょー、これで次回からとても楽になります。自分の刀だけでいい。
それでも居合刀と大石神影流の鞘木刀と常寸の鞘木刀ですが、少ない少ない。
さーそれでは何を持ってこようか。小太刀か半棒か六尺棒か。槍もいいですねぇ。

 

来週は、大石神影流剣術第7代宗家継承式です。

 H26.4.15