伝統

土曜日は小学校の運動会でした。

前日は激しい雨風でしたが、当日は晴れて雲ひとつなく。

(どこかで聞いたような話ですね。)

窓を開けると、聞き憶えのある応援歌が聞こえてきます。

もう中学校になったはずなのにな。。。

と自分勝手な考えが頭をよぎり。

自分たちがどうであろうと、小学校はそこに存在し。

別の人たちがその跡を継いでいきます。

我らが横浜支部のお二人も、元気に参加しているはず。

お父さんお母さんも、きっと暑い日差しの中で応援を。

自分たちもつい去年まで同じことをしていました。

いつも同じことを繰り返しているようでも、

それをしているのはまた別の人です。


 ゆく河の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず

 淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて

 久しくとどまりたるためしなし


今日の稽古は、男の子とお父さんお母さんはお休み。

運動会のあと、さらにやんごとなき御用事とのこと。

女の子とお父さんは参加ですが、運動会のあとです。

女の子は応援団だったとのことで、かなりお疲れ。

お父さんもきっと応援疲れをしていることでしょう。

休憩を多めに取ることにしました。

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澁川一流柔術


棒廻し

今回は、逆廻しをやってもらいました。

お疲れのときには、集中力も欠けやすいものです。

そんなときは目先を変えて、ちょっと気分転換。

新しい業も良いのですが、フルメンバーではないので。


棒廻しはいつも、下から跳ね上げる動きを稽古しています。

でも今回は、前から被せる動き。

例によって、逆に廻してみてください。とだけ言って。

うーん、なかなか難しいご様子。

実際にやって見せて、少し言葉でも補足。

お父さん、すぐにできました。さすが。

女の子は少し苦労していましたが、直にできるように。

身長に比して棒が長い分、取り回しには苦労されます。


未経験の方に棒を廻してもらうと、概ねこちらの回転に。

でもって逆ですよ、とお伝えしたりします。

でもいつも逆を廻しているとそれが普通になってしまい。

最初にやろうとしていた動きの方がぎこちなくなり。

おもしろいですね。


さて、この棒廻し。

もちろん、打ち込みの基本動作でもあるかと思います。

でも実は、突きの基本動作なのだそうな。

え、どこが?って。たしかに。さて、どこがでしょうか。


半棒表 立会、指棒、引棒

今回は、お二人で組んでやってもらいました。

女の子とお父さんペア。普段ほとんど組みません。

いつもは、お子さん同士、お父さん同士が多いです。

でも親子だから上手く行くかと思いきや。豈図

なんだかちょっとぎくしゃくしています。

何回か繰り返してもらっても、あまり変わらず。


最後に、掛かり稽古方式で打太刀で元に立ちました。

うん、いい感じ。

実際に前に立つのと傍から見るのでは、もちろん違います。

でもそれだけではなし。

やっぱり打太刀が違うと違うのでしょう。

気持ちの問題も大きいのかもしれません。

誰が相手でも、いきなりすっとできるといいですね。


ちょっと休憩。水分補給も忘れずに。

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大石神影流剱術


構え素振り

いつもどおり、深い呼吸に合わせて動きます。

固めることなく、リラックスができれば、疲れも取れるかも。


途中で女の子が休憩。やっぱりかなりお疲れの様子です。

あとは見学してもらうことにしました。

お父さんとサシの稽古です。緊張しますね。←どっちが?


試合口

久しぶりにやってもらいました。

仕太刀と打太刀を交代で。

久しぶりですが、よく覚えていらっしゃいました。

間と間合い、請け、張り、突き、請け流し、打ち。

いずれも上達されていました。

その形を稽古するからその形が上達するのではなく。

形の稽古で培った技術を、他の形にフィードバックする。

剣術に限らず、棒術の稽古に限らず。

それらはすべて、有機的に関連しています。

間と間合いがすべて。呼吸とも言えます。調和


陽之表 よう剣、げっ剣、無二剣

同じく、仕太刀と打太刀を交代で。

最近ずっと陽之表だけを稽古していました。

直前に久しぶりに試合口をやったので、

混乱するかと思いきや、問題なくできました。

素晴らしいですね。

もっともこちらが打太刀に立っての仕太刀です。

多少は思い出しやすかったかもしれません。

いきなり打太刀だったら、ちょっと難しかったかも。

動作としては、打太刀の方が単純なんですけれどもね。

それが、打太刀の打太刀たる所以でしょうか。


ちょっと休憩。

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無双神伝英信流抜刀兵法


大森流 初発刀、左刀、右刀、當刀

二尺八寸の模擬刀をお貸ししました。

模擬刀ですからもちろん切れはしません。

でも切っ先は尖っていますから、取り扱いは要注意です。

今回、居合はお一人の稽古になりましたから、大丈夫かと。

最初の四本だけでしたら、自損も考えにくいですし。

後半になると、多少危険な業も出てきます。


抜き付けや納刀で鯉口をこじらないでくださいね。

けっこー高かったんですよ。

と最初にさんざんプレッシャーをお掛けしました。

その横で女の子が、ケガしないでね!と。優しい。。。

#いや、さんざプレッシャーを掛けたのは、

 そう言えば慎重に動いて良い稽古になるからであって、

 鯉口うんぬんは冗談で。。。


さて、黙って前に座ります。

でもって、四本抜いてもらいました。

例によって、抜いている間は何も言わず。

抜き付けで引っ掛かり、納刀でこじり、鐺が床を叩き。

でもそれは、何も言わなくてもご自分でわかるはず。

終わってからアドバイスです。

しばらく繰り返してもらって、最後に一緒に抜きました。


普段、大石神影流用の鞘木刀で稽古してもらっています。

二尺八寸二分の木刀です。お貸しした居合刀は二尺八寸。

わずかですが短い。でも抜き納めに苦労されていました。

一番違うのは重さです。

重いから、不安になって、柄を握ってしまう。

そうすると逆に、操作が難しくなります。

棒廻しと同じですね。半棒と六尺棒の違い。


もう一つは刀身の厚さでしょうか。

木刀は厚く、居合刀は薄い。

誤魔化しが効きません。少しのズレが如実に表れます。

抜き付けも納刀も、刀身と鞘が合っているかどうか。

XYZの三軸が合っていれば、するっと抜き納めができ。

少しでもずれていれば、鞘を削ります。

そして、真剣はさらに精度を求められます。

動作の精度は、精神の精度の表れでもあるかもしれません。


いきなり二尺八寸では難しいようであれば、

最初は二尺七寸くらいでもよいかもしれませんね。

一寸違うと、長さ的にはわずか3センチ程度です。

でも、体感的にはかなり違います。


人数も少なく、お疲れのことも承知していました。

少し早く終わる予定でしたが、結果的にはあまり変わらず。

たいした回数を繰り返しているつもりはなかったのですが。

もう一回、あともう一回。

稽古をしていると、時間はあっという間に過ぎて行きます。

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澁川一流柔術は、三つの流派をもとに創始されました。

大石神影流剱術は、もちろん初代が創始されました。

伝書を拝見すると、その研究工夫の変遷がよくわかります。

無双神伝英信流抜刀兵法も、現代には種々が伝わっており。


小学校の運動会の結果を聞きました。

13年間負け続けだった組が、最下位を脱出したそうな。

そして今まで強かった組が、最下位になったそうです。

よく聞き覚えのある応援歌も、実は毎年少しずつ違うとか。。。

 

伝統と言っても、伝えるのは人から人で。

まったく同じようでも、まったく同じとは限りません。

そして、それが伝統というものなのでしょう。

少なくとも、江戸時代にはインターネットはなかったわけですし。

時代に応じて変えるべきところと、変えてはいけないところと。

一つのテーマですね。


来週も通常どおりの稽古です。

暑いはずですので、体調を万全に整えてお越しください。

 

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